黒い背景に水素分子と炭素原子が結合し、ナフサとなる様子を描いたイメージ。川崎重工のロゴが横に配置されている。
黒い背景に水素分子と炭素原子が結合し、ナフサとなる様子を描いたイメージ。川崎重工のロゴが横に配置されている。

水素を使っても炭素がなければ素材は作れないという現実で、この話題を追う同僚や技術関係者には見過ごせない文脈が見えてきます。

水素社会の逆説:炭素が不可欠 記事の流れと主な事実

2026年5月、川崎重工業は水素からナフサを生産する技術の提案を始めたと発表しました。これは天然ガス由来の水素と一酸化炭素を用いたフィッシャー・トロプシュ合成(FTS)技術の応用で、エネルギー安全保障への貢献が期待されています。ナフサは石油化学産業の基盤であり、プラスチックや合成繊維、医薬品の原料として不可欠です。日本の年間消費量は約3,390万kLに上り、そのほとんどが中東由来の原油に依存しています。ホルムズ海峡の封鎖リスクが高まる中、国内の12基のナフサクラッカーが停止すれば、数万社の中小企業に連鎖的打撃が及びます。一方、水素単独ではナフサは作れず、炭素源としての一酸化炭素(CO)やCO₂の還元が必須です。再生可能エネルギー由来のグリーン水素とCO₂を組み合わせるPower-to-X技術も、逆水性ガスシフト反応を経てCOに変換する必要があり、効率とコストの課題を抱えています。

主な事実

  • 2026年5月、川崎重工業は水素からナフサを生産する技術の提案を始めたと発表した。
  • ナフサの年間消費量は約3,390万kLで、実質的に8割が中東に依存している。
  • フィッシャー・トロプシュ合成(FTS)では水素と一酸化炭素を反応させ、炭化水素を合成する。
  • CO₂を原料にする場合も、まず逆水性ガスシフト反応でCOに変換する必要がある。
  • 日本のナフサクラッカーは12基あり、エチレン年間生産能力は616万トン。
  • 川崎重工はトルクメニスタンで天然ガス由来の水素からガソリンを製造するプラントを納入した実績がある。

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